僕と姉妹と幽霊の約束
「ああ、俺はバカだよ……。バカだから、こんなやり方しか、出来なかった」
- 作者: 喜多南,みよしの
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2011/09/10
- メディア: 文庫
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このラノ大勝第二回の優秀賞の本作。正直、舐めていました。というか、第一回の受賞作すべてがことごとく、肌に合わなくて買うのどうしようかと思っていたくらいなので。
……やられました。完膚無きに、もう。甘くて、ちょっと苦みがあるとげとげのボンボン、と言えばいいのか。
反則でしょうよ。想像もしてなかったですよ。こうも切ない高校生の恋愛モノだとは。
前回の作品群は尖りすぎて、ごめんなさいだったのに。こう来ますか! もっとやれ。やってください、お願いします。どストライクなので。
高校生時代の多感な思春期を舞台にモテモテな主人公、しかも身内の三姉妹から好き好きオーラってそれだけで、主人公もげろって思う話なんですが……。
涙ぐんじゃういい話なんですよ、これが。やられたとしか言いようがないかなー。
メインのストーリーは主人公とヒロイン。そして、親友の恋模様なのですが、それが悲しい出来事で主人公が前に進めなくなってしまう。それをどうするか……。
序盤には描かれない背景が分かると、あーなるほどと思いつつ。もの悲しい。だって、分かるもの。好きな娘と親友の想いを。それも、親友から重い事を託されて……。
それがどう転がるかは、まぁ、内容は読んでのお楽しみというところで。
目線を変えるとキャラが皆よかった。主人公を溺愛する姉さんズにブラコンの妹に囲まれて、端から見ればうはうはな状況を描いたコメディ部分はテンプレもありますが純粋に楽しめます。
その上で、という付加価値が姉妹に描かれていて、ストーリーにかっちりとはまっていたのは素晴らしかった。ちゃんと活かしているのは作者の地力だなぁと思う次第。
あと、サブエピソードの各話に出てくる幽霊の話がまた世界観を上手く見せていたと思います。誰もが抱える、残念を分かりやすく描いていたかと。その上で、主人公やヒロインの紫音がとる行動の標となっているのはテクニカルだったかな。
まぁ、その部分は読み終えて考えるとそうね、という話であって読んでいる上では気にならないですのでまた唸るわけですが。
ラストについては、賛否ありそうですけど。個人的にはアレで良かったと思っています。ハッピーエンドで読後が良いものです。
綺麗にまとまっているので、続きではなくて新作で次のお話を読んでみたいと思います。