のうりん

「盗ったんじゃねえよ失礼な! 託されたんだよこれは! ぼくは林檎ちゃんからパンツ洗ってくれって頼まれたの! 合法パンツなのっ!」

のうりん (GA文庫)

のうりん (GA文庫)

……えっと、青春アグリカルチャーものラノベなんです。ホント。主人公が、犯罪すれすれでHENTAI紳士的なトークをしていますが、デフォです(ガチでw)。
ついでに言うと、登場人物すべてが変態さんです(正確には一人除く)。幼なじみのヒロインも含めてそれは、残念なほどに。
だが、それがイイ! いや、ホント読んでいる間笑い続けていました。農業高校らしく、自分たちの手で作物や畜産を行っていく描写がきちんとされているのです。でも、人物がみな残念なので実習や転入生に寮での洗濯の仕方を教えることが変態ちっくなコトになってしまいます。
テンポがよくて、またネタの回し方が秀逸で読んでいて先が気になっちゃう書き方はすばらしい。けど、変態ですが。
愛すべきバカ。純粋な変態たち。シモネタやおたく系時事ネタに抵抗感がなければ、このすっとこどっこいな本作は楽しめると思います。
そして、最近のラノベなので恋バナもちゃんとあります。どっちかというとすでにフラグ立っているヒロイン二人の恋のさや当てがすぐに始まるので、関係性を重んじる人には物足りないかも……? でも、コメディの要素として十分楽しめる構図と描写で不満はないです。

主人公の暴走変態機関車っぷりに目がいきますが、彼の事が好きな幼なじみの農も十分アレで残念ですが、一途なところは好感が持てますね。奪われるフラグがびんびんな彼女に幸あれ……。
転校してきた少女の林檎も、背景にあるコトが今後どうなっていくのか。それが掘り下げられていってさらに拡がりがでるのかな? そんな期待を持たせてくれます。

オタ系時事ネタの混ぜ方は上手いですね。というか、速すぎというネタもあってびっくり。シュタゲ好きですね−。僕も好きなのでにやりとしたり。あと、農業高校ならではの生産物や小物の使い方に実習場面の描写はきちんと調査しただけあって、リアルでした。
白鳥先生は、世界観や構造をしっかりと作った上で話を作るタイプみたいなので物語世界がくっきりとして想像しやすいですね。だから、キャラたちがはちゃめちゃなコトをしつつ、ちょっとシリアスなシーンになっても結構すんなり切り替えられるような気がします。
前作の蒼海ガールズでも、シリアスな戦闘シーンは歯ごたえがあり、結構あっさりと人が死ぬ描写もありましたがやはり、乖離しなかったと思っています。

次巻も楽しみですね!