六花の勇者 2

「世界を守りたかった。お前達とともに凶魔を倒し、魔神の復活を阻みたかった」

六花の勇者 2 (スーパーダッシュ文庫)

六花の勇者 2 (スーパーダッシュ文庫)

七人目だった偽六花の勇者を見つけ、企みを阻んだと思ったのもつかの間。直後に現れた「七人目の六花の勇者」によって全ては振り出しに戻ってしまったが──。

やられた! まんまと作者にしてやられた! 2巻冒頭から衝撃的なシーンが描かれて、これどうなるの!? と先の展開が気になる構成がもう素晴らしい。
良い意味で想像出来ない流れ、そして中盤これかな? と思ったらまたひっくり返される事実。読んでいて手が離せず、惹きつけられるというのは本書を読むようなコトを指すんですよ。

今回もまた、これでもかっ! という窮地に追いやられるのだけど、アドレットが本当に主人公らしくて諦めない姿が良い。周りが不利になり、時間が迫る中で執念深く敵の謎に迫り事実を突きつける。あの辺りの緊迫感と解決に至る過程が生み出すカタルシスは心地良いですね。

七人目もなぜ七人目なのか。伏線のうまい張り方もあって、心情が分かりつつもお前それで良いのか!? と反芻しながら文字を追っかけてしまう力強さがあったと思います。
キャラ達もそれぞれ成長し、疑いつつも仲間としての信頼が産まれたりと関係性の変化もまた読んでいて面白い部分。フレミーがアドレットに対して思う気持ちについて、モーラが感じる所には色んな意味でニヤニヤできる部分があって好きな所です。

ああ、3巻もたのしみですね。

──いや、1巻のラスト3ページを読んで2巻が「やっぱり1巻で終わっていれば良かった、なんて事にならなければ……」など思った時の自分をしばき倒したいです。
山形先生ごめんなさい。