はるかかなたの年代記

──最初から男扱いされたのって、会長が初めてだ……。
そう独りごちするほど女顔にいつも困惑する少年は、人に言えない秘密を胸に抱いて、超常能力である「換象」を学ぶ学園に入学した。そして、同じように秘密を抱える少年と少女と出会って──。

ページを繰るのがもどかしいくらい楽しんだ気がする。流れはストレートなボーイミーツガールなのですが、惹かれあう過程が丁寧に描かれていて、主人公がヒロインのカティアを守ろうとする気持ちが素直に胸に伝わってくる、そんな感じ。
初めから好感度MAXな作品よりも感情移入しやすいので恋愛が絡むモノとしてはこういう正統派の方が好きですし、はまった時の威力は大きいと感じます。

キャラクター達に親しみを持ってしまう描き方だったのかな。そういう作品に弱いです、自分。
それぞれ秘密を抱えた三人の少年と少女が一緒のチームとなって学園生活を送りつつ、友情と思慕の情が育っていく流れがよかった。
また、三人を取り巻く人物たちも良い。主人公に惹かれてしまう美人で優秀な生徒会長や、できる女と見せかけて実は隙がある美人教師。彼女らも主人公の天然ジゴロな仕草や態度に籠絡されていっちゃうのだけど、不思議とハーレム系にありがちなお安さって感想は持ちません。
いや、ジゴロっぽいから普通ならおいおい、と思ってしまうハズなんですけどね。男の娘っぽい外見に自分もだまされているかもしれませんが……。

……言いたいことが、メインヒロインのカティアも可愛いけれど、才色兼備なのに主人公が関わると恋する女になってしまう生徒会長も、女教師もみんな好きだよ、って感じですがホント良いんですってば(自分が見境がないだけかな、って気もしてきたけど……)

これは、人の好みによるのですが……。魔法と科学技術が併存している異能モノとしては、設定にこだわりすぎずにキャラ達のドラマを描くための装置に止めていたように思えた所も良かったかな。
ヘタに深く掘り下げられて流れが滞るよりはずっと良いと思います。続きが前提であるから、序盤で急ぐ必要もなかった、というのも有るのでしょうが。

とまれ、正攻法できた作品だと思うのである程度人気がでてじっくりと巻を重ねてストーリーが紡がれていけば、と思わざるを得ません。なので、売れるといいなぁ……。