クロノxセクスxコンプレックス
「あなたって相当おかしいわ、ミムラ・S・オールドマン。わたしがこれだけ嫌ってるんだから、普通あなただってわたしを嫌うでしょ」
「自分でもおかしいと思うんだけど、ボクは今マゾな気分になってるみたいなんだ。警戒された方がほっとする。だって君以外の誰も僕を警戒してくれないんだ」
クロノ×セクス×コンプレックス 1 (電撃文庫 か 10-17)
- 作者: 壁井ユカコ,デンソー
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2009/11/10
- メディア: 文庫
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いや、タイトル通り複雑です。タイムリープモノとしての複雑さと少年が少女にトランスジェンダーしてしまった上での、恋の芽生えみたいな部分の二通りの意味で、入り組んでいます。
ただ、根幹はライバル心を一方的に突きつけてくる少女が、実は孤独でコンプレックスの固まりであるという脆い部分を徐々に見せるうちに主人公に心を開くという意味で王道。
読み終えるとオリンピアが可愛くて、ハグしたくなります。
時間を繰り返す度に予想外の出来事が起こることでストーリーに緊張感を与えつつ、ヒロインのオリンピアの可愛いところが見えてくるところがキモ。
終盤の「あ、友人以上になってもいいわ──」の所で、ああ素敵と思ってしまう時点で作者の術中にはまっていますが、それが心地よい。
先人の古典的な名著をうまくパロディで出してきたなぁ、という部分にも舌をまきますが、本質はオリンピアが主人公のミムラ(肉体的に♀)に落ちていくところです。
パロの部分は知らなくても、120%楽しめるので気になっている人は読むといいと思います。
……ええ、1年近く積山に置いていて今本当後悔。自分もラベンダーの香りをかいで発売日直後に戻りたいです。
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元ネタ知っている人向け。
タイムリープを繰り返す度に、どんどん状況が酷くなっていく部分は何となく、筒井康隆的な突き放し方だなぁって感じました。
尊敬しているというか、オマージュ的な雰囲気ですね。
あと、ピートを使うのはもうそれだけで評価を上げてしまうくらい、納得できるフレーズだったと思います。