変態王子と笑わない猫。
「筒隠と、なんですか。いえ、やっぱり言わなくていいです。私を想像に登場させるときは倫理規定を守ってください。そうじゃないと怒ります」
- 作者: さがら総,カントク
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/10/21
- メディア: 文庫
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自分の心が抱えているいらないモノを消してくれるという「笑わない猫」という木像の所で二人は出会い、お互いに祈ったところ、望み通りに消えてくれたのだけどそれが元でトラブルが生じ、二人は協力して捨ててしまった性格を取り戻そうとするが──。
これはとても面白かった。勢いがあって主人公のアホな行動に思わずツッコミを呟いてしまうくらい読んでいて本当に楽しかったと思います。
登場するヒロインがとても魅力的で、主人公も変態王子の称号は伊達じゃないHENTAI☆さん、なんですが憎めない。
月子がね、特に良い。1年後輩の少女なんだけど丁寧語で喋るところがぐっときます。自分、こういうキャラに滅法弱いです。
仕草とかがまた可愛い。ママチャリに二人乗りをするとき、主人公が(男友達と)二人乗りを良くやっているから、という台詞を女の子とよく二人乗りをしていると勘違いして「……結構しているのですか。そうですか」と呟きながらつねってくるシーンなんか、たまらないわーと悶絶してましたよ。
変態王子がもう一人のヒロインとフラグが立ってからの嫉妬の仕方もまた、いじらしいというか。
普通のキャラならふーん、で流してしまった気もするのですが丁寧語で淡泊に責められる。これ、結構効きますよ。
──ていうのは、オレだけですかね。違うといいなぁ。同志いるかしら?
まぁ、オレの事はどうでもいいや。
片方のヒロイン小豆梓がまたいいツンデレですね。ドSお嬢様系、と見せかけて実は寂しがり屋の甘えん坊。
変態王子の建前の性格を笑わない猫から授かってしまった彼女。そこが接点となって主人公にロックオンされてしまうわけですが……。
ドSチックに見せかけて、すごく可愛い性格だと思います。強気なのに、動物がとても好きでモグラたたきの叩かれるモグラにまで感情移入して涙ぐむなんてねぇ。
また、アニマル和風喫茶のケモノミミコスの仕草なんて、犯罪的にゃんですわん。
どっちかというと、うっかり系な性格もポイントかも。変態王子とのデート(?)に試験のほとんどが赤点になるほどwktkしていたんですものね。
うーん、フックになるポイントもあちこちちりばめていて良い娘です。
サブヒロインの鋼鉄の王。月子の姉もまた、良いキャラでした。
町の不良も拳で下すという強者でクールビューティかと思いきや……。超シスコンで姉妹の縁を切って結婚したいという、超世間知らずだとは。
時折ぽろりと漏れる台詞からもお茶目な所が見え隠れしているので、2巻以降の展開ではもっと面白いキャラになりそう。
ストーリーの流れも良かったと思います。コンプレックスを捨てて発生するトラブルがまた、面白いんですよ。
主人公は本音だだ漏れ。しかも、脳内が水着やらスパッツやでっかいおっぱいというように桃色脳なので、言動がセクハラ・変態化。めでたく「変態王子」を襲名って感じで進んでいくわけですが。
勢いとキャラの雰囲気の良さで引っ張ってくれるので、コメディ系が好きな人には楽しめるんじゃないかな、と思います。
イラストも大変可愛い……。カントクさんって初めて知りましたけど、同人では結構人気があるみたいですね。
早速虎の穴に行って、げふふんっ。
と、まぁ。本当に満足度が高い新シリーズです。個人的には続きがとても気になる作品ですね。