ハロー、ジーニアス

「僕たちは似たもの同士かもしれないね。ひとりが好きなくせに寂しがりだ」

ハロー、ジーニアス (電撃文庫 ゆ 3-1)

ハロー、ジーニアス (電撃文庫 ゆ 3-1)

ジーニアスと呼ばれる、超天才達の技術により大きく発達した近未来の日本。その学園都市に通う主人公は鬱屈していた。優れたハイジャンパーだったのは過去。怪我をして凡人以下の自分が人に必要とされるはずがないと無気力に過ごしている時。
そんな彼がジーニアスのヒロイン海竜王子八葉に求められた。「──僕にはキミが必要だ」、と。

ヒロインがボクッ娘だよ、天才少女だよ、変人だよ。……大好物です!
ハロー、ジーニアスはとても好きな話。お互いに怖がりな部分を隠して孤高に振る舞ってしまうヒロインの八葉と主人公の高行の触れあいが良かった。
そして八葉の行動がストレートなのもいい。作品冒頭のキミが必要というのは読者を引き込むギミックではなく、彼女の本心。つまり、密かに彼の事に憧れていた恋心があったのだから。

ただ、それを茶化して自分の奇人っぷりでごまかしてしまうのだから、面倒くさい娘です。でも、そういうとこもいいんですよ。
ストーリーが進んで隙を見せるところとかもいいなぁ。アンコウ大好きとか。

腋のキャラでは高行のライバルがちょっと気になったかな。BLっぽい感じがくどくない程度に匂うのも面白いニュアンスになっていて個人的に悪くはなかった。

設定や垣間見える世界の描写(ジーニアス渦やアメリカ消失など)もそそられる所があるので連作というか、シェアワールドで続きを読んでみたい気もします。
新人という事ですが、次の作品もぜひ読んでみたいですね。