Re: バカは世界を救えるか? 3

「だから仕方がないのだ。みんな自分のために一生懸命だったのだから、許すも許さないもない。仕方がない」

朝起きて、学校に登校するとそこはあり得ない非日常だった。薫は年相応のアダルティックな容姿に、勝ち気な広美は昔幼い頃のおどおどして甘えん坊な性格に。敵のネメシス、<幸福夢幻>という夢の世界に囚われてしまったのだ。

アルルが健気すぎる。天衣無縫というか本当に純粋というか。世界を救うために命を狙われているのも関わらず、人を恨むと言う事がない姿が眩しすぎた。
光一がアルルを守りたくなる気持ちが分かる気がします……。
普段ならこういうキャラって苦手とは言わないまでも、あまり思い入れすることないのだけど、無条件で好きかもしれない。
ロリ宮も前巻で良い娘だと分かっていて、普通に惹かれるのですけどねぇ。今の所、光一とアルルがくっつかないかなぁと思ってしまいます。

敵のネメシスで夢の世界に囚われての脱出。夢の中だから相手を殺すことが出来ない、という制限の中で光一の劣化コピー能力が上手く使われたと思います。
幸福な夢という甘い誘惑を退けるのがアルルを守りたいという一途な想いは、ベタですけど素直に頷けるのでよかったと思います。
光一はバカだけど、熱いヤツというのが今回も貫いていたので楽しんで読めました。

物語の深い所にも焦点が当たっていて、次巻も気になる流れでしたね。司令の明日菜の苦悩が最後の方で明らかになって、ぐっと奥行きも出てきた。アルルを世界を救うために道具にしか見ていないように見せて、その実は……。
明日菜が、自分は幸せな夢を見る資格はないという叫びが悲痛でした。彼女が昔のようにアルルの笑顔を真っ向から受け入れることが出来るためにも、光一は頑張らねばイカンですね。

今回はロリ宮がほとんど出てこなかったので、ここら辺で一つ短編集でキャラメインな話を読んでみたい気もします。
が、ストーリーの先も気になりますし。読者は欲張りですね、ホント。