オオカミさんと亮士くんとたくさんの仲間たち

「もう嘘つかなくてもいいッスよ!!」
「いや、もうそんな嘘なんかで自分を護るな!!」

オオカミさんと亮士くんとたくさんの仲間たち (電撃文庫)

オオカミさんと亮士くんとたくさんの仲間たち (電撃文庫)

亮士は大神さんをデートに誘い、そして嘘の毛皮が徐々に脱げていきようやく二人はカップルとなる所までこぎ着けるが──。

文句なしの素敵で上手く纏まった最終巻でした。10巻を越え、積み重ねた上での大団円。最終巻にふさわしい盛り上がりで、読んでいてにやにやと。そして熱い盛り上がり。
大神さんのデレの破壊力はまさにツンが続いた後ゆえに強力でした。素の彼女が丁寧語でしゃべる時の可愛さときたら。遊園地の観覧車の中のオオカミさん、もうガチで転げ回りたくなるほどでしたから!

事が解決したあとのエピローグは、世話焼き女房になる感じが見え見え。嫉妬深いと本人も言っていましたし。情は間違いなく深そうですから、もう逃げられないでしょうね(その積もりは亮士にもないでしょうけど)。

……亮士、もげろっ。なんて言いたくなります。が、それは紳士のやっかみです。ええ。彼が大神さんの笑顔を独占するだけのことをしてきてたのだから正しい終わり方です。

ジャックさんの41人目の紳士的に祝福しますよ? 不純な気持ち無く?
脚フェチの同志ですからね! 大神さんの黒スト姿を独り占めに出来るからと言って亮士に死の視線を送ったりしませんよ?

与太はさておき。
亮士が、男をちゃんと見せました。それだけでも文句ないのですよ。終盤の格好良さはまさに乙女を救うヒーロー。そう、物語はこうじゃなきゃと思うほど展開はベタです。だが、それが良い。
大神さん限定のイケメンという中途半端な所は残りましたが、それも何れは解消されるでしょう。大神さんは良い男と巡り会えたと思いますよ。

今回は後半がシリアスモードで、凛々しい頭取を見ることが出来たりと読み続けたからこそ感無量な内容でした。これまでのオオカミさんシリーズに登場した連中が集まっての、ラスボス戦の狼狩りは熱くて痺れます。ページの関係上、どうしても端折り気味でしたが行間を読んで回想するとやはり燃えます。

そういう意味で、ちょい役となってしまったけど、ゲストキャラ達もインパクトは結構あるんだなぁーと思う最終巻でもあったかな。
地蔵&花咲ペアや宇佐見&田貫ペアも存在感はありましたし。残り1巻、後日譚をやると言っていましたがやろうと思ったら、宇佐見&田貫スピンオフも出来るんじゃないのって気がします。

あ。今考えると、大神さんをして「いいもんを見た……」と言わしめたグレーテルの笑みというのも絵で見たかった!
後半、挿絵がほとんど無かったのは少々残念でもありました……。致し方なかったとは思いますが。

大神さんの独り立ちでちょっとしょんぼりな、りんごさんもフォローが入るみたいですし残りの話を期待しつつ、ひとまず。お疲れ様でした。