バカとテストと召喚獣 9

「よくやった明久ぁっ!」
「しくじるなよ雄二っ!」

バカとテストと召喚獣9 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣9 (ファミ通文庫)

Cクラスにはめられて試召戦争をするはめになったFクラス。最悪な事にCクラス委員長小山さんの奸計にはめられ、Fクラスは内輪もめを起こして戦死者(補習室行き)多数。絶体絶命のピンチに明久が風邪で欠席!?──

いやぁ、面白かった。ピンチをくぐり抜ける雄二の采配と、明久の逆境を逆手に取った行動がはまっていて、試召戦争の醍醐味を十二分に感じられた巻でした。
明久と雄二の通じ方が素晴らしい。今回、二人が顔を合わすのは物語終盤で感想の冒頭であげた台詞を交わす瞬間だけ。なのに、最良で最高のタイミングを作っていくのだから。男の子はこういう展開が大好きなんですよ!

状況がもう、熱い! Fクラスはどう考えてもじり貧。しかも、逆境に追い打ちを掛ける苦境が襲ってくる中での逆転劇は燃えます! 雄二の戦略眼がいちいち腑に落ちてページを繰るのがもどかしいくらいでしたね。
アキちゃんが登場しなかったのは、残念至極なのですが明久の可愛い姿(ポッキーをかりかり啄むシーンは和む!)が見られたので良しと。あと、秀吉が! この、ナチュラル男落としがぁ。いえ、葉賀ユイさんの挿絵と相まって、ものすごい威力でした。

今回は、明久が別行動を取らざるを得ず、Aクラスの面々と接触する時間が多かったのですが、これも良かったです。
木下(姉)や久保君が良く描かれていて、物語の奥行きがさらに拡がったと思います。久保君、女の子にモテる人だったのに、アキちゃんに恋してしまったが故の茨の道は涙を誘う……。
木下優子さんは、BL好きが若干漏れ出ていてより良いキャラに。しかも、明久をペット的に愛玩しそうな描写が笑いを誘います。もうね、明久はみんなのペットでいいじゃん(含む読者)と思うくらい。今回はサービスシーンが無かったので、アキちゃんの女装姿が次巻に一杯あることを期待してます(玉野さんと一緒に)。

ラブ分は少なめでしたけど、ヒキがまたずるい。姫路さんとその両親との謎めいた会話は妄想してしまうぞ!
あと、今回の試召戦争の影で暗躍した人や、新キャラも出てきてどうなるのか。やっぱり続きが気になってしまいます。

にしても、井上センセの軽妙な台詞回しは読んでいて心地良いですねー。テンポとギャグのハマリ方が絶妙で楽しい。落語とかのノリに近くて素直に面白く感じてしまう。キャラの魅力もさることながら、軽快なテンポというのもバカテスの魅力かなぁと改めて感じます。

最近は姫路さんがメインヒロインの力を見せ付けていて美波の活躍が少ないのが、唯一の不満です……。美波、良い娘だけど由緒正しいツンデレキャラのポジション過ぎて泣ける。
極上のツンデレキャラはメインヒロインに主人公を奪われるから輝くから……。オレはそんな美波をやっぱり一押ししてしまいます。