ゼロの使い魔 20

「居場所なんて、どこにだってあるよ! だから、だから……」

エルフ達の都から脱出したサイトたちは、身を隠すために龍の巣と呼ばれる海の難所に囲われた海中へと落ち延びる。エルフ側も、一枚岩ではなく虚無の使い手に対する強硬派が追っ手となって──。

少女側の好きな人への想いの強さが描かれていた巻だったかと思います。特にティファが痛々しかった。サイトへの憧れを抑えられなくなっていく様は辛い。
途中まではぶっちゃけ、サイトがふらついている所為もあると思ったけど、心の拠り所だった母親の一族のファーティマから怨嗟の言葉を投げつけられたら、折れてしまうのも無理ない。
ふわふわした性格でつい忘れていたけれど、ゼロの使い魔で一番、辛い境遇な娘だと再認識させられます。
だから死の淵で、サイトを呼んでしまうのは責められないと思う。
ルイズと再会したとき、どうなるんだ? と思いますが、ある意味解りやすい解決方法になってしまうの……か? いや、簡単に想像できる形で落とすとも思えませんけれど。

他方、ご主人様のルイズの方はというと……。この娘はホントに浮き沈みが極端で、その部分はサイトと変わらない。
心配で仕方が無くて、震えるだけのルイズも本当なら、サイトを助けるために心を奮わすのも本当。もちろん、一人だけではなくもう親友と言って良いシエスタとの支え合ってのものというのも、良いなと思っています。同じ男に惚れて、ライバルであり身分も違うのに、これほど馬が合うなんて。
個人的にはルイズとサイト、そしてシエスタの三角形がとても好きだったりします。これは長い巻の中でじっくり描かれてきたからですね。
なので、ルイズとシエスタの描写が減るとちょっと寂しい。

しかし、寸前で危機を脱したサイト達と対照に、彼等を救いにエルフの都へ突っ込んだルイズ達が今度は大変な事になりそうなヒキ。
本当に物語の終結へ向けての動きなんだと思うと寂しさもありますね。
ブログ冒頭に載せたサイトがティファに言った台詞、考えてみればサイト自身にも跳ね返ってくるものですよね。無意識にサイトは最後にどう決断するのか、決めているのかなと思ってしまったり。

にしても、ぽっちゃり。ホントにど変態なこまったさんです。エレオノールが毒牙に掛かってヘンな方向に開花する……なんてことは、まさかないよねぇ。