エレGY

「……でも、誰もしないような生き方をせんと、特別な存在にはなれない、ってな」

エレGY (星海社文庫)

エレGY (星海社文庫)

変わらない日常への不満がついに爆発した主人公の泉は、自分が運営するブログにこんな文章を書き込んだ。『君のパンツ姿の写真、求む』。そんな彼の元に、泉の作るゲームのファンと名乗る少女から本当にパンツ姿の写真がE-mailで送られてきて──。

いいなぁ、この話。主人公とヒロインの不器用で格好わるくて、そして素敵な恋愛ラブコメ
かつては輝いていた主人公が、不安定な日常に心をすり減らされてダメ人間に堕落した時に起きた恋愛模様のストーリーというのがツボ。

最初はテンポが良くて読んだ時間楽しめるタイプのネタ系のラノベかな? なんて思ってました。
パンツ姿の写真が送られてきて、呼ばれて逢ったら美少女の高校生ですから。しかも当初からフラグがびんびん立っていて、お気楽?

ごめんなさい。全て、理由があったんですね。読み進めて分かる事実。奇跡的な出会いにも切っ掛けはあって、それを選択したから、今があるという当たり前な事がさらりと自然に書かれているのには参ります。
泉がゲームを作り、エレGYがゲームをプレイしたこと。
誰もしないような生き方をしたおかげで、エレGYが救われるなんて泉は想像しただろうか? 
そのエレGYの存在によって、泉本人が心を支えられる時があるなんて信じられるだろうか?
フリーウェアゲームサイトを作って、その関連商品で収益を上げる。そんな普通じゃない生き方を選んだ主人公とエレGYの結末が心地良い。

読み終えて満足。講談社BOX版の時に読んでいれば良かったなぁ。
ヘンな気負いなく、さらっと読み笑ってちょっとほろっとさせられて。こういう話にボクは憧れる。