まおゆう 魔王勇者3 聖鍵遠征軍

「酒を飲んで、下品な話をして、拙者に向かって大きな口を開けて、バカみたいな笑顔で敬礼してくれないでござる……」

まおゆう魔王勇者 (3) 聖鍵(せいけん)遠征軍

まおゆう魔王勇者 (3) 聖鍵(せいけん)遠征軍

魔界でのクリルタイの開催、そして蒼魔族がまさかの反旗。命を狙われた魔王は……!?

ストーリーが本格的に動き出し、後半はまさに動乱の時という流れ。そんな中、ぐっと来たのは軍人子弟の呟きでした。
蒼魔族の地上侵攻。白夜の国を落とし、三国同盟が危機に瀕し、防衛のために女騎士や軍人子弟が奮戦し、侵攻から領土を護るが味方を喪う……。
一国の将軍としては当然のことなので、あまりにも感傷にひたりすぎかもしれませんが、ガチで目がうるっとしてしまった。学士の弟子の中では多分、間違いなく確実に落ちこぼれだった彼が誰彼無く、皆を護りたい。本当の意味で護民卿として立っている事をこれ以上吐露した台詞はないと思います。
まおゆうの一つの側面である、人の成長がビビッドに表現されていた所だったかな、と。
群雄劇として楽しんでいるのでなおさら、惹かれてしまうのですよね。

今回、前半はインフラ整備とかいわゆる古代ローマ塩野七生ちっくな描写が続いていて個人的にはああ、そうねぇ。という感じだったので武人の描写がむしろ目を惹かれた感じでした。
銀虎公がまた、熱いし。漢、意気に感じるという描写はありがちとはいえ、凄く好き。ああいう、真っ直ぐなもののふという男は憧れも含めていいなぁと。

魔王や勇者がともすれば脇役っぽかったけど、まおゆうが「そこに生きる人々を活写する」と考えると、むしろその方がいいのかなぁと思ったり。
傭兵隊長の生き様もなぁ……。わずかな描写だけど、彼がとった行動に理解できるから。群像劇としてみるとやはり面白いと言わざるを得ないかなぁ。

いや、魔王が勇者を巡って女騎士と火花を散らすところも可愛いのですけどね。

そんなわけで、続きも期待しているわけです。Web版で最後まで読んでますが、やはり新しい発見もありますから。

P.S.貴族子弟とメイド妹って良い雰囲気というか、一緒になりそうだなぁと思ったり。良いカップルだと思うのですが。メイド妹の無邪気さと貴族子弟の気障っぽくて、実は気配りの人というのはそれでツボなんですよねぇ……。