さくら荘のペットな彼女 5.5

──任せてください! 必ずや、龍之介様のご期待に応え、外国産の悪い虫は撃退してみせます!

ましろの「ぱんつ穿いてない」で振り回される一日や、本編にあったクリスマスの部分を空太以外の視点で語るなど、もう一つのさくら荘の話。
どの短編も楽しめたと思います。七海や仁などサブキャラクタたちの本音を垣間見たり、と拡がりがあるのがいい。千尋センセも和樹と幸せになれればいいのですけどねぇ。

外国産の悪い虫ですか……w 個人的には、もう一つのクリスマスイブの一部にあるリタの龍之介への想いを描いた部分がツボ。惚れたら龍之介がどれほどすげなくてもネバーギブアップ。ガンホー! って感じでひるまずにアプローチをかける所が好きだ。
本陣(龍之介)は女性が苦手という大変なハンデに輪をかけて、遠距離恋愛の第一障壁となっているメイドちゃんが強敵すぎ! というか、ホントにAIナンでしょうか。恋するボーカロイドじゃなくて、AI? そう思う程キャラが立っていますね。
あのスペックで製品化されたら売れるっと思いますわ。萌える秘書ソフト、コンシェルジュとか。Officeで冴子先生の代わりにどうですか、マイク口ソフトさん。

仁の大人への階段。仁が美咲と恋人になるためにやらなくてはいけない、脚本家になるという本気の決意と他の恋人たちとの精算を描くところ。仁はやっぱり大人びいているよね。留美さんに許される所を子供の甘えというが、自分を子供と見る事が出来るくらいには大人になっていると思う。
そんな彼の決意だけど、あの時点の美咲に解れというのは無茶だなぁと改めて読んで感じたり。その一方通行さっぷりは子供というより、本気すぎて冷静になれないのかなと思ってる。
エピソード的には、仁と元生徒会長が図書室で交わすやりとりが好き。飄々とした仁と常に真面目に語りかける元会長。怒りつつ、仁の事を認めているんだなぁという空気がとても良かった。ああいう、男のツンデレも可愛くて好きですね。

七海が空太をクリスマス・イブに誘い、その当日までの悩める乙女の姿はベタですが可愛くて良かった。美少女たちにかこまれて、「普通の人」意識で落ち込む所とかにやにや。恋するからこそ不安で、でも期待してという部分が楽しめた。でも、どうしても結ばれないフラグがひしひしと。

甘かったり、痛かったり。良い青春モノだなぁと改めて実感。