僕は友達が少ない 7

「……あたしあいつのこと大嫌いだけど……いなければいいって思った事、一度もないんだけどなァ……」

僕は友達が少ない 7 DVD付き特装版 (MF文庫J)

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将来友人が出来たときに備えて、文化祭に参加しようと出し物をあれこれ考える隣人部。自分の好きな事をやりたいがために、無茶な意見ばかり出るのだが。結果的には無難に自主制作映画に落ち着き、夜空が脚本を自ら買って出るという意外な場面も。そんな感じでクランクインするのだが──。

いつも通り楽しいコメディ。そして、ちょっとシリアスで本気なやりとりがしんみりとさせられる。

冒頭の星奈が漏らした台詞。それはもう友達って事だよね。途中から読み手にさんざん突っ込まれていた事を、みんなが理解しつつあるんだろうなと感じさせます。夜空の星奈に対する接し方ってずいぶん酷いけれど、星奈から夜空へのアプローチって完全に友人のそれ。
悪友であり、恋のライバルと自覚した上で夜空と遊んでいると考えると案外まともだよな、と思う。
むしろ、小鷹にだけ心を開く夜空の方が子供だ。今回、それがはっきりと表現されていたのが小鷹との関係。
夜空は10年前の「タカ」との想い出に、過去に囚われている。星奈は、それを弊履のように投げて今が大切だと言い切った。
星奈さん、格好良いよマジで。というか、「かくあるべし」と自分の理想を押しつける形になる夜空は、一歩踏み出さないと星奈に勝てない。そんな事を予感させるのが、映画の配役を変えたあとの修正した脚本。
夜空とタカの関係に固執して、作品の出来を無視するというのはコメディタッチではあるけれど、夜空の幼さが表れたと思う描写だった。そして、夜空が考え直し、あるべき姿の脚本に修正したのは一つの壁を越えたように思わせた。

さらに。今回、現実を直視させたのは理科。いつもの一番、人間辞めてる? というキャラが実は一番まともに見ていたというのは、やり過ぎと思わなくもないけど重要だったかな。他のキャラだともう少し遠回りになりそうなので、むしろ正解だったのかも。
そこではっきりと提示される、小鷹の態度。すでに、小鷹は隣人部の心地よさに気づいていた。あれほど欲していた仲間を得ていることに。バカバカしくも楽しい時間を共有できる隣人部に居場所があると。
小鷹がずるいのは、その先も理解していた事。隣人部のヒロイン達に想いを寄せられている事を察していながら、無視するという選択をしていたという事実。
夜空とは違う理由でありながらも、モラトリアムを選び今の心地よさに浸る小鷹を間違っているとは言えないけれど、そろそろ選択をする時期に来ているのかな。まとめに入っているのかと思うと、ちょっと寂しい感もありますね。

それにしても、星奈と小鳩は可愛いなぁ。小鳩へのダダ漏れの愛は重すぎですけど、小鷹への想いやそのことで表される描写が好き。なんのかんの良いながら、隣人部という場所を大切に思っている所もいいな。
小鳩はただいるだけで可愛い。中二病の仮面がはがれて、方言モードになったあとの所がもう、ツボ。頭を撫でて上げたいですよ、ホント。