境界線上のホライゾン1 上 ・ 下

「そのオッサン止めろ。俺とホライゾンがイチャつくのに邪魔だ」

遙か遠い未来。各国に分割統治された日本。その中で制限がアリながらも自治を認められている都市艦・武蔵。政治を司る教導院総長兼生徒会長の葵・トーリは重大な決意を秘めていた。告る、と。その告白の為に、虐げられてきた極東・日本側と支配を強める聖連側との軋みが生じて──。

今更ですが、手に取りました。jud.ええ、アニメ効果ですとも。踊らされていますね(くねくね〜)
いや、面白いですねこれは。緻密な設定や、言葉に込めた二重三重の意味が織りなすもの。『境界線』というフレーズの持つ意味が浮かび上がって行く時の快感は、そうそう味わえるものではないですね。
会話もテンポ良く軽妙で、言葉あそび(通神とか拝気量etc)も読んでいて楽しい。

ただ、それ以上にはまったのは縦横無尽に動くキャラ! そして群像劇としてのキャラ達が織りなすドラマ。こういうの大好きでたまらない。ページ数に怯えないで早く読んでいれば良かった。
もっとも主軸になるトーリとホライゾンは言うに及ばず、正純が囚われている襲名の失敗に伴う数々のこと。コスプレ王の麻呂の過去の失敗とその今、等々。
どれも読んでいて印象深いし、泣ける。
臨時生徒会の相対で黒藻の獣が正純に「たすけて、まさずみ」と言ったところから、正純がホライゾンを助けるための流れは、ちょっと泣きそうになった。ああいうのに弱い。

あと麻呂の過去も凄く重いのね。そんな後悔を引きずる彼がアデーレの言葉に救われたシーンもグッとくる。過去の決断は失敗だったけれど、麻呂の過去が無ければ、アデーレが武藏にいなかったわけで。人生のほろ苦さみたいなエピソードも惹かれます。

個人的には無尽蔵なバカだけど人が良いトーリと武藏のキツい性格が好きかな。武藏さんの為なら税金納めるために頑張りたいかも。

ホライゾンを取り戻し、聖連(特にK.P.A。ITALIAの教皇)に喧嘩を売って、一回戦は勝利したトーリ達。続きが楽しみ。