境界線上のホライゾン2 上・下

「いろいろ出来ねえことも、投げ出したくなることも、いろいろあんだろうけど」
「今は、その不可能を俺に全部預けていってくれ」
「頼むわ。──俺は出来ると、そう思ってくれ」

二番目の大罪武装の引き渡し交渉のために向かった英国。しかし、三征西班牙の追撃を受け被害を受けつつ英国にたどり着くが、そこでもまた迎撃を──。

熱い、キャラ達の闘いざまが熱すぎて燃える。いや、本も分厚いんですが、そうなるわなと納得させるものでした。
力での戦闘に政治と経済の駆け引きでの戦闘。闘いばかりだった気もするけど、どれも読み応えがあって参ります。どの闘いも関わる陣営のキャラが己の意地と才能と想いの全てをぶつけてくるので、グッとくる。

悪人はいない。ただ、それぞれの進むべき道を啓くためにぶつかるので善悪じゃないんですよね。だから、どの陣営のキャラも等しく、生き様が映える。こういう話を書けるのはすごいや、ホント。

下巻の後半からクライマックスにかけては、熱い台詞が機関銃のようにぽんぽん投げかけられてきて、ページを繰るのがもどかしいのなんの。武藏防衛で戦況が不利になり弱音を吐く学生を諭す、名も無きキャラの台詞ですら痺れますからね。
その上でのトーリの台詞を冒頭に挙げたけど、対する西班牙側の攻撃側の生徒たちの台詞もジンとくるし。
「滅びが漲ってんだよ俺たちはよ!!」って本文の流れで読むと、凄いッスよ。

どのキャラもみんな魅せ場があって、キャラに愛着が湧いてしまい、もうやばい。先に読んだ先達がハマる気持ちが良くわかるなぁ。
守銭奴のシロジロも本当に信念があって、輶包との相対のところはぶっちギリで面白く、熱かった。「金の力か!?」「金の力だ!!」と言い切るんだもんなぁ。素敵です。
バトルも輶包が本当に野球部らしくバットで立ち向かうのも凄いけど。「バスター!!」とか咆哮しながら、野球のノリで十字砲火を切り抜けていく描写なんてダレが思いつき、描けるのよって思うし。

それといつもは全裸でバカやっているトーリですが、やっぱり要であり、ヤツがいるから武藏は一つになって進むんだなぁと思ったのは冒頭に挙げた台詞。逃げないから、頼む。そうだよなぁ。そう言われたら、奮い立つよね。上に立つ人間はああいうカリスマと付いていこうと思うものがあれば良いんだと再確認。
……でも、本文中の武藏の皆の思いと同じく、戦っている最中に慰問されたら確かにヤーねw

まぁ、言い足りないけど感想としてはこの辺で。

……あ。言い忘れた。点蔵はもげろ!
彼が幸せになるだけのことを誠実にやった結果なんだけど、すげー悔しい気も。点蔵だからですかねぇ。人柄?