覇道鋼鉄 テッカイオー

「いい怒りだ……!! 俺に対する激しい憎悪を感じる。さぁ、肉と命を削り合おう!!」

童子神功』という強力な武功をもつ少年カザン。しかし、この武功はある事と引き替えのため、得ようとする者はほとんど居なかった。なぜなら、童貞を貫き通すという男にとってあまりにも犠牲が大きいがゆえに……。そんな彼が仲間と海賊を退治して助けた姫さまの願いで、クーデターが起きた彼女の星へ向かう事になるが──。

す・げ・え。
痺れた。とても面白いんですよ、本当にもう。読んでいて、むっちゃ引き込まれる、強力な魅力がありました。しっかりとした世界観と魅力溢れたキャラ達。たまらんわ、これ。
自分、美学ある悪役って大好きなんですよ。なので暗黒武侠のグントラムの格好良さに震えた……。彼が背負った復讐の理由を知ると、さらにもうね。主人公たちより好きかも。

ホント巨大ロボット、スペオペ武侠バトル、強大な敵。そして、巨乳。ともかく、男が燃える要素をこれでもかとぶっ込んだ怪作だと思います。
作中に出てくるモノのネーミングセンスも痺れます。
「気合いの入った金属(ガッツメタル)」「邪道鋼鉄」等々。うわ、もうセンス・オブ・ワンダーなんて懐かしい言葉を思い出してしまったり。雰囲気も90年代風な部分も感じるところがあったかな。

あと童貞、童貞と作中連呼されているけど、これは有ってよかったかも。無かったら、要素詰め込み過ぎな部分があるので堅苦しく感じてしまったかもしれない。自分的には緩急が上手く付いた感じで好きです。

中国の武侠小説の雰囲気をベースにした勧善懲悪の王道風に魅せつつ、登場人物たちが選択する行動の理由になる因縁や確執などを上手く描いていてストーリーに入りやすかったかな。
主人公のカザンとルゥランのらぶらぶちゅっちゅっぷりと、その理由については上手い所を突いたという感じ。読み進めて、二人の関係にグッときます。

大賞らしい、威風堂々とした読み甲斐のある作品だったと思います。
SD文庫は良い作品が最近ぽろぽろ出てきているので、目が話せないですねぇ。