問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て

「悲劇になりきれねぇのなら、俺がこの手で喜劇に変えてやる。──だから覚悟しろ。俺たちは巨龍を倒して──完膚なきまでに救ってやるからな」

アンダーウッドの収穫祭が魔獣や巨人族襲撃され、巻き込まれる形になったノーネーム達。レティシアが、そして耀までもが行方不明となりアンダーウッドは蹂躙されるだけに見えたが──。

今回も面白くて一気に読み切ってしまいました。死すら敗北とは認められず、解決しなくてはいけない謎はとびきり難しいという圧倒的に不利な条件のゲームという緊張感がある話で、読んでいて先が気になる話だったかと。ゲームの解答部分を読んだ時はよくこんなネタに行き着いたもんだと感心。

今度こそ、耀にスポットが当たり何故お嬢や十六夜達と対等な立場を必死になって望む理由がはっきりしたお陰で、耀の存在感が僕の中で確立できた。
憧れる父のように、心の奥底で渇望していた本当の友となりうる連中たちと出会ったのだから彼等と釣り合う自分となろうとする姿は本当に好きですね。

あと飛鳥お嬢。彼女も光っていたと思います。人外の力と思量深さと決断力に富む十六夜に引け目を感じ、そして乗り越えたいと思い行動する様は凛々しいし魅力的です。そんなお嬢のギフトの片鱗がまた凄そう。
耀のもつ「生命の目録」の力もまた凄まじいものになり得るし、お嬢ともども次巻以降の成長を考えると十六夜に肩を並べるような力を得るのかもしれない。そう思うと、問題児シリーズは長く続いて欲しいなぁ。

世界観も既存の様々な神話や知識から織り込まれているけど、衒学的ではなく、奥行きを感じさせてきちんと面白さに繋がっているのも好きです。
強いて言えば毎巻がクライマックスって感じで、少し忙しないのがもったいない気も。キャラが魅力的なので本筋とは関係ないメインキャラと箱庭世界の住人達とのエピソードとかもっとあるといいな。設定が面白いので、横に拡がった箱庭世界を見たいです。

あ、一つだけ本巻で残念な所が……。
お嬢とペストのお風呂シーンに何故挿絵が無いのですかっ!!
硬派すぎです。が、軟弱なワタクシとしてましてはとても残念です。非常に遺憾であり、勿体ない事だと思います……。
是非とも次は、ブラック・ラビットイーターの活躍か、お風呂リベンジを期待したいかと。