そんな遊びはいけません! 〜君がいると風紀が乱れる〜

「違うの? じゃあわたしみたいな一途な痴漢を何て言うの?」

そんな遊びはいけません! (MF文庫J)

そんな遊びはいけません! (MF文庫J)

学園の秩序を護る唯一の風紀委員の主人公。気弱な性格ゆえ違反者に注意することができず、風紀委員会の存在すら危ぶまれてしまう。そんな委員会に新たに加わってくれたのは、彼に電車の中で痴漢を働いた少女。秩序を乱す娘が入っていいんか──?

ああ、もう大好きだなぁ。痴漢から始まる恋って、どうなの? という突拍子の無いシチュエーションから始まる所ですでにはまってしまった気がします。
ヒロインが主人公の姉妹たちも含めて残念な人しかいないというのは、自分にとっては好物。読んでいる間は何度も吹き出してしまい、部屋で読んでいて良かったと。多い日も安心ですね。ギャグが。

人気があるクラスメートの美少女の希。彼女が、電車の中で主人公と密着すると名状しがたい気持ちになってお尻をはあはあ言いながらなで回すという東条のし方は、さすがです。ナチュラルに変人を出すのが上手な作者さんだなぁ、というのは前作の「ゴミ箱から失礼します!」の期待を裏切りませんでした。

主人公の時政はある意味女難の相とも言うべき、モテ体質なのだけど超鈍感なので自分がモテるという実感がないまま進むのはハーレム系のお約束。でも、彼を取り巻く少女達が残念すぎる部分の方に目が行くのであまり気にならない感じかな。
人の役に立ちたい、という部分が一貫している部分も好感が持てますし。

ヒロイン的には衝撃的な出会いをした希よりも、衝撃的な場所(ラブホ)に連れていく朝日奈の方が目立っていたような……。恋愛に興味があっても奥手でサドでマゾという、混ぜるな危険! という要素で構成されている朝日奈のエピソードの方が盛り上がってしまったかも。

しかもです。ヒロインなら主人公の姉妹もスカウターを壊しかねない残念レベルなので、もうたまりません。夏帆姉さん、大好きだわー。生徒会長という出来る女なのに、弟を溺愛するあまり彼に近づく希たちに本気で対抗する大人げなさは素晴らしい。
独り立ちしている長女も実家に帰宅して主人公と顔を合わせて開口一番に「お前のパンツくれ」だものなぁ。さらに妹は妹で、肉親に欲情しない証拠としておっぱい突っついて証明してよ、ときたもんで……。

そんな残念な美少女わんさかコメディの『そんな遊びはいけません!』は、今後とも応援していこうと思います。
次巻は3月……って連続刊行なんですね。
楽しみ。