僕の妹は漢字が読める 4

「──愛しているのよ」

僕の妹は漢字が読める4 (HJ文庫)

僕の妹は漢字が読める4 (HJ文庫)

義兄であるギンをはっきりと異性として意識したクロハがギンに投げかけた「好き」という言葉。それに対してどう反応していいか分からないギンは女性の心と恋愛をこの夏に学ばねばと決める。一方ユズもまたギンに対して自分の心を打ち明けて──。

4巻も引き続き面白い。クロハが真価を発揮して、デレ部分の破壊力が大きい!
雰囲気としてはギンを思うクロハとユズの恋愛部分をメインに据えてきたためか、シリアスの比重がこれまで以上に高めです。なので、読み終えてしんみりとする印象が残っていてちょっと意外な読後感でした。もちろん相変わらずキレてぶっ飛んでいる23世紀の描写やオオダイラアワーの小ネタも笑えるのですけどね。

それにしても、ギンへの恋心を認識したクロハの描写が本当に可愛い。想いを伝えようとして空振りする所にがっくりしたり、ギンとユズとの距離が縮まる事にやきもきしたり。お約束の、自分の友達の事なんだけど……で始まる恋愛相談とか凄くにやにやできてもうたまりません。不器用な娘が大好きなので、クロハの描写は美味しくいただきました。

ユズについては、彼女のこれまでの境遇を掘り下げていて良い話になっていたなぁ、という感想。家族への愛に渇き飢えていたユズがギンの一家に心を開いて束縛が解けていく所は良かったな、と。「ううん、お母さんのおすすめしてくれる服なら、喜んで着ますよ」って台詞には目がうるっとさせられて参ります。

けれど、妹漢ってSFもちゃんとやっているんですよねぇー。ここはホントすごいと唸ります。パンス党員というダジャレでふざけた38世紀が別の価値観で動いている世界となっていて、それに説得力があるのには驚きました。さらっと触れているけれど、良く作り込んでいますよ。
妹漢がどうして21世紀で翻訳される事になったのか、その動機と誰が? という伏線に触れた部分も細かいことだけど上手いわーとため息。
3巻くらいから思っていましたけど、かじいたかしさんって凄くテクニカルに書く人だと感じます。それも自分の好きなタイプの書き方で。だから正直、妹漢とは別の作品も出して読ませてくれないかなぁと思うくらいですね。

しかし、今回少なめとはいえおバカネタのインパクトは相変わらず凄いな、と。オオダイラアワーのMGSとフォトカノから盗撮スネ○クを導くのは目が点に。性欲もてあまし過ぎでしょうw

そろそろ纏めに掛かってきている気もしますが、続きが気になってしょうがないです。