明日から俺らがやってきた2

「このまま君の思いが、努力が伝わりもしないなんていう未来は認められん。全部知った上で、それでもというのであれば……それも、それでも嫌だが……っ」

明日から俺らがやってきた〈2〉 (電撃文庫)

明日から俺らがやってきた〈2〉 (電撃文庫)

青春の甘酸っぱい正統派恋愛モノでもう胸が一杯な巻でした。彼女となってからの涼がどう思っているのか、期待と不安で揺れ動く主人公の気持ちが良く分かるなぁ。

小学生の時いじめられていた涼を救った親友と誤解したまま離ればなれになり、後悔を抱えていた彼女の心を救いたいと動くのは彼氏たる主人公なら当然のこと。その行動の結果、肝心の涼の気持ちに不安を抱かせてしまう──。ああ、これは辛い。
そんな主人公を救おうとする未来からの「俺ら」がまた良くて、本当に気持ちの良い連中です。
冒頭に挙げた「受験」の台詞は凄く好きですね。まさに読んでいる自分も同じ思いを持ちましたので。

涼と親友だった香坂の仲が戻り、彼女として彼氏としてより絆が深まったエンドはベタですが良かった。
新ヒロインとして登場した香坂伊織。この娘もとても可愛く描かれていて好きですね。かつてクラスの友人達から掌を返されて孤立し、トゲだらけのキツイ見かけと裏腹に心優しい様はまさにメインヒロインを背負って負けないかと。
主人公には既に涼という彼女がいるので、恋愛関係にはならないでしょうけど良い親友・悪友ポジションでいられそう。

2巻でいきなり大学進学から始まって驚きましたけど、彼女確定の状態でしたのでむしろ良かったかも。大学生の恋愛ものは少ないのですし。
ただ、綺麗に纏まっているだけに続きを書くのは難しそうな気もしますが……。

それにしても、妹ちゃんのポテンシャルは高いと思うのですがどうも話に深く絡まないのがちょっと勿体ないとも感じます。とはいえ、学校も違いますし上手く見せ場を増やすというのも難しいですよね……。涼と結ばれるための障壁たる父と祖父に絡んだ高瀬家編になったらいけるのかなぁ−。