天鏡のアルデラミン 2

「いいや、ある。なぜなら君は僕の妹弟子だ。僕の後輩に才能がないはずはない」

待ちに待っていた続巻。期待以上に面白かったです。スピード感ある文章で先の展開が知りたくて一気に読んでしまう。
それにしても、今回のは内容が重かった……。容赦なく人が死ぬ描写が多くて、ええっ!? という場面が幾つもあります。

イクタにとっても厳しい現実を突きつけられ、そこで感情を飲み込もうとする所は切なかった。あり得た未来を想像するに、冷静な決断で合ったとは言え割り切るには厳しすぎる。今回体験した事がもう一人の主人公とも言える姫さまの目的と繋がる──そんなエピソードだったかと。全てを救うことはできない。しかし、もっと救うことができたのでは? そう考える先の帰結は軍人として偉くなるしかないでしょうし。

アルデラミンはキャラたちの描写も活き活きとしていて、脇役やゲストキャラも「あ、こいつ良いなぁ」と思わせます。それがこの話のシリアスな部分の描写が際立ってくるのに生きてるように思います。だからこそ戦場に立っているという事の意味が強く感じられて引き込まれます。

しかし、一つ終わったかと思ったらラストのヒキがまた極悪。続きが早く読みたいじゃないですか。
伏線もいろいろありますし戦記物として長く楽しめそうなので、人気が出るといいなぁ。

今回好きなキャラは北方鎮守のトァック少佐。出世コースからは外れたけれど、真っ当な軍人としての本分を尽くすいぶし銀で有能な副官って好きなんですよね。この巻だけで終わるには惜しい……。
ディンクーン准尉も愛すべき脳筋って感じで、もっとイクタたちと絡んで欲しかったです。