終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらってもいいですか?

「だったら、バターケーキって、焼ける?」

過去、強大な敵と対峙し地上世界を滅ぼしてしまった人類最後の生き残りが、命でもって世界を守っている妖精と出会い、忘れたいと思っていた過去と再び向き合うことに──。

タイトルにだまされた。すんごく切なくて泣いた。
よくありがちな、コメディ系どたばと思ったら……。ガチで世界が滅びかけて、少女が魔物に自爆特攻して辛うじて生き延びているという、なにこのハードモード。

主人公が妖精のクトリと心を通わせて、過去を重ねつつ今を守ろうと思うようになるまでの部分がすごく丁寧でとても良かった。素直じゃ無いクトリが主人公に反発し、でも憎からずになり最後は甘えてくる所がもう超いいのよ。こういう展開たまらんのですわ。
また、途中に挿入される主人公やクトリそれぞれの過去にあったエピソードもまた、どれも心をちくちくと刺激してくるものばかりなんですよ。冒頭に上げたセリフ出てきた時、目から汗がぽろぽろ落ちてきて困ったわ……。

この話ってすごく救いの無い背景持っているのに、出てくる人物はみんな優しいのがもの悲しさをより強くしているように感じます。人情味ある緑鬼族のグルックや、鬼子母神のエピソードを思わせる自称「女の子」ナイグラード。こう自分の好きなところ突きまくる作品ですね。

以下、ネタバレ反転
そして、エピローグ。おい、まじかやめろよ……。もう続き読むしかないじゃないか。
どうか救いがありますように。