由比ガ浜機械修理相談所

「私達は、機械なんでしょ? こんな感情、欲しくなかった。それともこの悲しみも、ニセモノなの? ねえ、教えて。教えてよ……」

由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)

由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)

 

 結さんの想いが切ないわ……。じんわりと胸にくる恋愛小説だったと思います。

TOWAという人と変わらない心をもつアンドロイドの少女と、TOWAの製造に関わって起きてしまったことをトラウマに持ってしまった青年の間に芽生えた恋。

いや、ほんと不器用で焦れったい感じがよい。結のオーナーが金策のため、青年に売買の仲介頼まれてしかも同居することになった前半部分の初々しさというか童貞青年が結
さんと顔が触れそうになるとか距離が縮まった時の反応が青臭くて、/// と読んでいる方が赤面するこっぱずかしさがたまらない。

 

そんな砂糖が口から漏れるような描写が、過去のある事件が再び浮かび上がることで暗転。心あるアンドロイドも「モノ」なのか「ヒト」なのか、というテーマの部分で一気にシリアスな話に。結構重めな話で、主人公が最初に調整(育成)を行ったアンの身に起こった事は読んでいても辛かった……。

終盤にアン、ヨネ、結。主人公が関わったTOWAたちの「想い」が重なった所に来ると、ぐっと来てちょっと泣きそうに……。

 

 

本作で良かったのはやはり、結さんの一途な想いでしょうね。「好き」という気持ちをずっと持ち続けたからの結末が良かったなぁと。

アンの絵本のエピソードはずるいよなぁ、ああいうのめっちゃ弱いのでもうやられたなぁって感じ。

 

わりとストレートな恋愛モノで、心を持ったアンドロイドとの恋愛に興味が元々あってそういうジャンルが大好きだったので楽しめました。