りゅうおうのおしごと! 11

「おはようございます。姉弟子」

 三段リーグで三連敗して絶望した銀子が自らの死を望む衝撃の10巻ラストから、再生するまでのエピソードを、丸々1巻を銀子メインにして書ききってた!

いや、凄く良かった。本当に最高の恋愛モノを読ませてくれたと思う。幼い時からのブレない、八一への好き。その想いが清滝一門の師匠、桂香や明石先生にマエストロや鏡州など銀子を取り巻く人たちに支えられ、命を繋いで八一からやっと……。

もう、読み始めたら止まらなくて一気に読み切ってしまいました。

本当なら、11というナンバリングではなく番外編としての位置づけもあったと思う(というかそっちが普通?)。でも、敢えて11にしているのは銀子の想いが、そして彼女が悪手だったのでは? と後悔すらしている行動が全て八一の原動力になっていたという事なんだろうと思う。八一と銀子の二人で一つの将棋で駈けた生き方があればこそ成り立ったから、「りゅうおうのおしごと!」という世界があるという事なんだと勝手に思ってます。

 

将棋が二人いなければ指せないように、恋愛も愛し合う二人がいなければできない。そして、二人を支える人たちと過ごした年月の結果が終盤の三段リーグ「創多戦」に全て叩き付けられている描写はすごかった……。

葛藤する中で銀子が右手でスカートをきつく握りしめる、という一文。まさに清滝一門で育ったからなんだよな、と感じさせるような所がいくつもあって本当にぐっと来ます……。

 

11巻は銀子の心情がダダ漏れの巻で、心に残る台詞が沢山あって付箋貼りまくって増した。ぐっとくる映像的な描写も多く、11巻をベースにアニメの劇場版やって欲しいな、と思ったり。

 

あとアレです。11巻を読んでしまうと八一ではないけれど、もう姉弟子とは呼べないですよね……。もう取り戻したわけですし、今思うと呪いの言葉に思えてしまう。